茶道初心者が知っておくべき道具の種類と名前、使い方を解説

茶道で使われる道具にはさまざまな種類があり、それぞれ役目を持っています。それらを学んでおくことで、茶道の楽しさや美しさを味わえるのです。 今回は「これから茶道を学びたい」「お茶会に必要な道具が分からない」という茶道初心者の方に、茶道で使う道具の種類と使い方をご紹介します。事前によく準備をして、本番では茶道の雰囲気を味わい、至福のひとときをお過ごしください。

1.お茶会に必要な6つのお茶道具

まとめ

まずは一般的なお茶会や茶道のお稽古で必要な6つのお茶道具をご紹介します。参加されるお茶会や流派によって異なる場合もありますので、必ず事前のご確認をしていただくようお願い致します。
1.扇子 2.懐紙 3.菓子切り 4.帛紗 5.古帛紗 6.帛紗ばさみ

1-1.扇子(せんす)

茶道で用いる扇子はご挨拶の時や席入りの際に膝前に置いて使用する物です。結界として置くことで相手への敬いの念を表し、さらに自分がへり下る謙虚さを意味します。扇子は流派や男女で長さが異なり、表千家では、男女ともに6.5寸(19.7cm)が主流です。裏千家は、男性は6寸(18.2cm)、女性は5寸(15.2cm)を使用します。なお、扇子で仰いではいけません。

1-2.懐紙(かいし)

お菓子をのせるお皿の役目を果たし、茶碗の縁を拭いたりする時にも用いられる道具です。二つ折りにした輪の方を自分の膝前にして使います。茶道は季節との調和を大切にします。そのため、季節に合った正しい柄を使用するようにしましょう。

1-3.菓子切り(かしきり)

その名の通り、出されたお菓子を切って口に運ぶためのもので、茶道に欠かせない道具の一つです。お菓子を食べるときは必ず一口サイズに切ってからいただきましょう。

1-4.帛紗(ふくさ)

お点前でお茶道具を清める際に使用します。色合いは、男性は紫、女性は朱か赤を主に使用します。女性の場合、表千家では朱色、裏千家では赤色が主流です。色鮮やかな帛紗もありますが、流派や教室によって使える色が異なります。

1-5.古帛紗(こぶくさ)

裏千家でのみ使用される道具です。濃茶をいただくときや茶碗、茶杓などのお茶道具を扱うときに用います。季節に合った柄のものを使用するようにしましょう。

1-6.帛紗ばさみ

茶席で必要となる小物を入れて持ち運ぶための袋になります。ここまでご紹介した5つの道具もこの帛紗ばさみにしまいます。中古のものは傷んでいることがあるので、購入する場合は保存状態を必ず確認しましょう。

2.お点前に必要な基本のお茶道具

続いて茶道のお点前のときに用いる基本のお茶道具を確認していきます。それぞれの道具の役目や見どころなどを知っておくだけで、茶道の雰囲気を味わえるようになります。早速ですが、お点前で使用する基本の道具は次の15種類です。
1.釜
2.炉・炉縁
3.風炉
4.風炉先屏風
5.水指
6.茶入
7.仕覆
8.薄茶器
9.茶碗
10.茶筅
11.茶杓
12.茶巾
13.建水
14.蓋置
15.柄杓

ひとつずつご紹介していきます。

2-1.釜(かま)

湯を沸かすための道具です。茶会を催すことを「釜をかける」といい、その言葉が示すように、茶事・茶会の中心となり茶道の象徴とも言える物です。釜ごとの形状、地紋、色合い、湯が沸いた時の音を楽しめます。

2-2.炉・炉縁(ろぶち)

炉は畳を切り取って作った穴にはめた小さな囲炉裏のことで、11月から4月まで使用します。炉縁は炉の熱を畳に伝えにくくするためのもので、炉に必ずかけることになっています。

2-3.風炉(ふろ)

5月から10月まで、炉の代わりに席中で湯を沸かすための道具です。茶室に入って釜の蓋が斜めに切ってあったら、風炉の中に火が入って湯が沸いている証です。風炉や釜をよく拝見し、雰囲気を楽しみましょう。

2-4.風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)

茶釜をかけてある風炉の向こうにある屏風のことです。炉の場合も同じ場所に置いてあり、お点前をする場所を示す囲いの役目を果たします。他のお茶道具との取り合わせの楽しさを味わえます。

2-5.水指(みずさし)

お点前で使う清浄な水を入れておく器です。釜に水を補充するときや、茶碗や茶筅をすすぐときに使います。棚や風炉、茶器・茶碗など他のお茶道具との調和を楽しめるのが醍醐味です。

2-6.茶入(ちゃいれ)

茶器の一種で、濃茶を入れるための容器です。茶入はお茶道具の中でも、掛物と並ぶ貴重な道具とされています。そのため、扱いや手入れには細心の注意が必要です。茶入の底にある、ろくろから切り離した時の跡(糸切)にはさまざまな種類があり、見どころとなっています。

2-7.仕覆(しふく)

茶入や茶碗などを入れておく袋のことです。中身によって紐や布、色合いを吟味した美しいものを添えるのが習わしです。

2-8.薄茶器(うすちゃき)

茶器の一種で、薄茶を入れる器を薄茶器と呼びます。主に棗(なつめ)などの塗物が多く用いられます。茶入と同様に傷つきやすいため、慎重に取り扱うことが大切です。

2-9.茶碗(ちゃわん)

その名の通り、お茶をいただくための器をいいます。夏にはお茶が冷めやすいように平たく口周りの大きいものを使い、冬にはお茶が冷めにくいように太く深い筒形のものを使用します。他のお茶道具との取り合わせや席主の趣向が現れるので、それを拝見するのもお茶の楽しみの一つです。

2-10.茶筅(ちゃせん)

竹を細くハケのように削ったもので、お茶を点てるための道具です。白い竹の茶筅が主流ですが、流派やお点前の内容によっては、黒いすすの茶筅も使われます。

2-11.茶杓(ちゃしゃく)

お抹茶をすくうための道具で、竹や木などでできている匙のことをいいます。茶席では茶入とともに拝見されるとても重要な道具です。

2-12.茶巾(ちゃきん)

茶碗についた水滴を拭くための布のことを言います。さまざまな種類の茶巾があり、流派や茶人の好みによって異なります。

2-13.建水(けんすい)

茶席で茶碗をすすいだお湯を捨てるための容器で、水こぼしとも呼ばれます。茶席に最後に持ち出されることが多いため、あまり目立たない道具の一つです。

2-14.蓋置(ふたおき)

その名の通り、釜の蓋をのせておくための道具です。他の道具との取り合わせやお点前によって使用する蓋置が決まっているものもあります。 また、七つの蓋置と言われるユニークな形のものがあり、例えばサザエの形をした蓋置は、潮干狩りの季節である3月に使われます。お点前が始まる時は建水に入れて運び、終わると棚物の上に飾り残されるため、その様子を楽しめるのです。

2-15.柄杓(ひしゃく)

お茶を点てるための湯や水を汲むのに使われる竹でできた道具です。季節によって切り口が異なり、冬は竹の皮になる方が、夏は冬の反対側が削られています。柄を扱う手つきも美しく見えるようにと柄のカーブにも工夫がなされており、お茶道具の美しさを感じられます。

3.まとめ

まとめ

今回は初心者が知っておきたいお茶会に必要な6つの道具とお点前に使う基本のお茶道具をご紹介しました。 もしかすると聞き慣れない名前で、覚えるのが難しいかもしれません。しかし、ご紹介したお茶道具の名前や使い方を覚えていると、お茶会の雰囲気をより一層楽しめます。この機会にひとつでも覚えて、茶道の美しさを感じてみませんか。 「百華の会」では、初めての方向けの茶道教室も開催しております。全く経験がない方にも丁寧にお伝えさせていただきますので、ご興味がある方はぜひ一度お問い合わせくださいませ。