茶道で使われるお菓子の種類にはどのようなものがある?詳しくご紹介

茶道にはお茶に合わせ、お菓子を提供しています。このお菓子はお茶をさらにおいしくするとともに、四季を表現する上で欠かせない存在です。また、お菓子に付随する道具や作法などもあるため、茶道を体験したいという方はぜひ押さえておきましょう。今回は茶道で使われるお菓子について解説します。

1. 茶道で使われるお菓子には2種類ある

茶道で使われるお菓子には2種類ある

茶道で使われるお菓子は大まかに分け、「干菓子(ひがし)」と「主菓子(おもがし)」の2種類があります。干菓子は、薄茶(うすちゃ)に合わせて出され、主菓子は濃茶(こいちゃ)に合わせて出されるのが基本です。薄茶は、一般的にイメージされるであろうお抹茶です。濃茶はその名のとおり濃いお茶で、薄茶の2倍の抹茶を使って作られます。

2. 干菓子とはどのようなお菓子?

干菓子は「落雁(らくがん)」や「煎餅(せんべい)」、「有平頭(あるへいとう)」などの乾いたお菓子に加え、「洲浜(すはま)」や「寒氷(かんごおり)」などの半生菓子も含まれます。干菓子の種類について少し詳しく説明します。

2-1.落雁

落雁は寒梅粉などのもち米を加工した粉と、大麦の粉のはったい粉や砂糖、砂糖と水を混ぜたものや水飴などを混ぜて型に入れ、打ち出したお菓子です。 江戸時代後期から鶴や亀、松竹梅など、色も鮮やかな落雁が生まれ、引き出物などで重宝されました。現在の茶道の席では季節を表す形の落雁が四季を表す役割となります。和三盆を使って作られる落雁は和三盆と呼ばれます。

2-2.煎餅

煎餅と言ってもお醤油や海苔のついた一般的なものとは違い、茶道で使われるのは甘く軽い麩焼煎餅です。

2-3.有平頭

有平頭はポルトガル宣教師によって16世紀に伝えられたお菓子です。砂糖と水飴を煮詰めて作られ、紅白の千代結びやさまざまな形に形成されます。

2-4.洲浜

洲浜は大豆から作られる洲浜粉に砂糖や水飴を足して練ったお菓子です。作られた当時は浜辺や入江の風景を表現した「洲浜紋」の形だったためつけられた名称です。茶道に用いられる際には松葉、わらびなどの形のものが使われます。

2-5.寒氷

寒氷は寒天に砂糖やすり蜜を入れ煮溶かし、練って流し缶に入れて固め、型で抜き、表面を乾かして作るお菓子です。表面を乾かすことで砂糖が光る、半透明の涼しげな見た目が特徴です。

3.主菓子とはどのようなお菓子?

主菓子は水分が多い生菓子、もしくは半生のお菓子です。練り切りときんとんなどは上生菓子と呼ばれ、茶道では最も格式が高いとされています。餡を使った大福や柏餅、饅頭など、作られたその日に食べなければならない主菓子は「朝生菓子」と呼ばれます。 主菓子には寒天やくずもち、ゼリーを使ったお菓子などの水菓子も含まれます。透明感のある水菓子は暑い季節の茶の席で重宝されるでしょう。上生菓子について少し詳しく説明します。

3-1.練り切り

練り切りは白餡に求肥(ぎゅうひ。白玉粉に水飴や砂糖を加えて練り、蒸した薄い餅)などを加え、練り上げたお菓子です。薯蕷(じょうよ)練切は、求肥を使わずに、やまといもや自然薯、つくね芋などを蒸して裏ごししたものに砂糖を加え練り上げて作られます。 練り切りは色粉などで色を付け、職人の技で意匠を凝らした様々な形に形成され、茶の席で四季を表します。

3-2.きんとん

きんとんはおせちなどでお馴染みの栗きんとんではなく、いがぐりのような形をしています。求肥や餡で作られた丸い芯に、裏ごしした餡をそぼろ状にあしらって作られます。

4. お菓子を頂く際に使う器や道具

お菓子を頂く際に使う器や道具には、以下のようなものがあります。

4-1. 縁高(ふちだか)

重箱型の器で、漆塗りで仕上げられた主菓子用の器です。一重に1つずつお菓子が入れられ、正客が一番下の段を取り、次客へと渡していきます。

4-2. 菓子鉢(かしばち)

陶磁器の鉢で主菓子用に使われます。人数分のお菓子を入れ、箸を添えてお客に出します。

4-3. 干菓子器(ひがしき)

漆の器や金属器、または木地の器で2~3種類の干菓子をお客の人数よりも少し多めに盛り付けます。

5. お菓子を先に頂いてからお茶を頂く

お菓子はお茶をおいしく飲んで頂くための、いわゆる引き立て役です。お菓子を先に頂き、甘さが口に少し残っている状態でお茶を頂くとよりお茶の味が引き立つのです。また、お菓子にはお茶が空腹時の胃に直接入って、負担がかかるのを防ぐ役割も果たしています。 茶道では先にお菓子を頂き終えて、そのあとでお茶を頂くのが作法です。もしお菓子を食べきれない場合、懐紙で包み持ち帰るようにします。お茶を頂く時は包んだお菓子を数寄屋袋などに入れ、人目にはあまりつかないように気をつけましょう。 普段和菓子を食べる感覚で、お菓子を一口食べてはお茶を一口飲む、などといったことは茶道では行えませんので注意してください。

6. まとめ

まとめ

茶道で使われるお菓子について解説しました。お菓子がおいしそう、というところからでも構いませんので、ぜひ一度茶道の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。 「百華の会」は東京、銀座にある茶道教室です。初心者から上級者まで、それぞれの方の要望やレベルに合わせ、カリキュラムを組んで裏千家直門が心を込めて丁寧にご指導いたします。茶道の経験が全くない方から上級者、男性や海外の方まで広く対応しております。どうぞお気軽にお問い合わせください。