茶道裏千家「百華の会」初級・中級コースで重要な許状の意味とは?

茶道教室は一般的に入門から初級・中級、上級などと習熟度別にわかれています。レベルごとに充分な習熟を得られた場合は許状をもらえるしくみです。この許状について知っておくと、茶道を上達させる目標や計画を作りやすくなるでしょう。 今回は初級・中級コースを受けるうえで重要なものとして、許状の意味を解説します。これを読めば茶道の習熟度を高めるヒントがわかるでしょう。

1.許状の意味

許状の意味

許状とは、より上級のクラスで学ぶことを許してもらうためのものです。上級コースの稽古を許されるという意味合いがメインで、資格とは異なります。裏千家でも資格制度を設けていますが、茶道特有のルールとしての許状を以下で学びましょう。

1-1.上の段階の稽古を学ぶための許し状

許状とは稽古において、より上級のクラスを受けることを認めてもらうための許し状です。茶道教室では許状によって、習熟度を証明できるしくみになっています。従来の資格とは違い、上のクラスで稽古を受けられるための許可証のようなものと考えてください。 茶道の許状にもランクがあります。裏千家の入門クラスでは、いちばん下から入門、小習(こならい)、茶箱点(ちゃばこだて)です。以上の3種目を一括申請しないと初級を習う資格は得られません。 ちなみに入門から中級を習う資格を得るまでの目安は2~3年とされます。以上を考えると、入門コースは長くても1年~1年半での達成が望ましいでしょう。

1-2.資格との違い

許状は茶道特有の概念であり、従来の資格とは異なります。たとえば弁護士や保育士などは国家試験に合格して資格をもらえるしくみです。特定の仕事をするにふさわしい能力を証明するのが目的で、ライセンスのように扱えるでしょう。 しかし茶道の許状はあくまでも稽古の許可がメインです。そのクラスで充分な習熟度を達成したという意味の資格とは違います。稽古できる位が上がったという意味では、許状は習熟度の証明になるかもしれません。ただし許状だけでは履歴書の資格に書けないのです。許状と資格の違いを認識したうえで、茶道の習熟目標を立てましょう。

1-3.裏千家にも資格制度はある

裏千家では許状とは別に、資格制度も設けています。 こちらは茶道を修めた者としての習熟度を示すので、許状とは別物です。しかし入試の願書や就職を目指すときは、履歴書にも書けます。 茶道を指導する教授者は、資格によって許状申請の範囲が決まります。つまり指導者を目指す場合、許状だけでなく資格も意識しなければなりません。許状のうち引次(ひきつぎ)を手に入れれば、助講師の資格を得られます。ここから初めて弟子の許状申請自体が可能です。

2.茶道の許状や資格は三千家によって違う

茶道の許状制度は、三千家によっても異なります。裏千家や表千家、武者小路千家にわかれていますが、自身が習う茶道の千家に合わせて、許状制度を確かめておきましょう。ここでは千家別の許状のあり方をまとめました。

2-1.裏千家

裏千家では指導者の資格によって、申請してもらえる許状の範囲が違います。指導者の資格のランクが高いほど、弟子も高い位の許状を目指せます。指導者を目指す場合は許状だけでなく、資格の取得もカギです。 以上のように裏千家では、許状と資格の2つの制度がセットになっています。とくに茶道の指導者を目指す方は、弟子のために許状を申請できるようになるうえでも資格が重要です。 基準として許状の引次を得れば助講師の資格ももらえ、許状申請ができるようになります。指導者を目指すなら、まずはこちらを目指してください。

2-2.表千家

表千家には資格制度がなく、免状でより上級クラスの稽古ができることを証明します。表千家で茶道を習っている方でも「資格」と表現することがありますが、それは免状を得た状態です。表千家には概念としての資格はなく、免状によって稽古のレベルが上がります。 免状とは、茶道の各段階で稽古を充分に学んだとみなされたときに得られます。この意味では裏千家の許状と似ているでしょう。免状も茶道において、より上の位の稽古に参加できる証明になるからです。裏千家の許状に対して、表千家は免状と表現されますが、似た概念と考えてよいでしょう。

2-3.武者小路千家

武者小路千家は裏千家と同じく許状制度を設けています。ただし裏千家と許状のしくみが異なります。 たとえばいちばん下の許状種目において、裏千家は入門、小習、茶箱点です。一方で武者小路千家は的伝(てきでん)から始まります。これに小習の一~三が加わるしくみです。武者小路千家ではここまでの稽古を通して茶道の基礎を学びます。 最高位は裏千家では茶名(ちゃめい)・紋許(もんきょ)に対し、武者小路千家では相伝(そうでん)と表現されます。実際はその上に皆伝(かいでん)がありますが、一代の家元に数名しか得られないため、特別な位になるのです。このように裏千家と武者小路千家でも 、許状のあり方が違います。

3.まとめ

まとめ

茶道で初級・中級コースを学ぶには、入門からの許状による証明が大切です。許状はその時点よりひとつ上の位の稽古を学ぶことを許されたという証です。 入門コースから習熟度を上げつつ、そのレベルで求められていることを充分に学ぶことで、上の位での稽古を許されます。裏千家では資格制度も設けてありますが、許状制度も学ぶことで、自身の習熟度や目標までの道のりを確かめられます。 茶道裏千家の「百華の会」では、初級・中級コースを設けています。少人数での開講が基本です。生徒がいらした順番に稽古を進めているので、時間どおりに来られなくても安心してご参加いただけます。入門コースから昇級し、引き続き茶道を習い続けたい場合は、ぜひ「百華の会」までご相談ください。